スープ大辞典

鶏がら

豚骨に並ぶラーメンのスープの定番から、様々な料理に愛好されている鶏がらスープは、鶏の滋養が溶け込んだ栄養食としても人気の高いスープです。

食肉で出汁を取ったスープとしてはさっぱりとした味わいの奥に、濃厚なうま味を秘めたコクが鶏がらスープの魅力です。

鶏がらスープの魅力に迫る!

にわとり

鶏がらスープは、四千年の歴史を持つ中華料理や西洋料理において広く発展したスープの一つと言えます。

つまり鶏がらは食文化という概念の中で、もっとも普及したスープの材料であるとも言えるのです。


鶏がらスープが含むうま味成分

うま味成分として知られているものにグルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸があります。グルタミン酸は昆布などに含まれる最初に発見されてうま味成分で、イノシン酸は肉や魚に含まれるうま味成分、グアニル酸はしいたけの持つうま味成分です。

鶏がらスープにはなんと、この三つのうま味成分が全て含まれているのです! 鶏がらはグルタミン酸が、鶏がらについている肉からはイノシン酸とグアニル酸が析出しスープのうま味を強めているのです。

鶏がらスープに溶け出す栄養分は

鶏がらに含まれている栄養分はビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンKなどのビタミン類に、コラーゲンや鉄分やオレイン酸と言った栄養素が挙げられます。

ビタミン類は水溶性と脂溶性が入り混じっていますが、鶏肉自身が持つ脂質によって脂溶性ビタミンも溶け出してくるわけです。

コラーゲンは美肌を作り老化予防に効果を発揮します。鉄分は血液を造り、オレイン酸は不飽和脂肪酸としてコレステロールの低下に役立ちます。

これらの栄養分が溶け込んだ鶏がらスープは、美味しいだけでなく身体にもいいのです。

鶏がらスープの活用法

日本料理では「一番だし」が様々な料理に活用できるように、鶏がらスープはスープ料理以外にも活用することが出来ます。

スープを煮立てて水分を少なくして料理の味付けに使用したり、ご飯を鶏がらスープで炊いてカレーライスに使ったり、餃子の皮に練りこんで美味しくしたりと、鶏がらスープには調味料以上の可能性が眠っているのです。

鰹節で出汁を取るには

では、本題である鶏がらスープの作り方に入っていきます。

 

鶏がらスープの材料

ネギ

水…1.2リットル、鶏がら…1羽分、ネギ…一本、ショウガ…二片

基本的には水1~1.5リットルに対して、鶏がらは1 羽分になります。

ネギなどの野菜類は鶏肉の生臭さを消すために入れます。ネギ・ショウガだけでなくニンジンやセロリなどを入れても良いでしょう。

鶏がらは冷凍物でも構いませんが、解凍する手間を省くのなら肉屋で新鮮なものを選んでおきましょう。

鶏がらスープの下準備

鶏がらから出汁を取る前に、鶏がらを一度煮ます。これは血合いなどの臭みを抜くために必要な工程なのです。

鍋で一度煮て、全体が白くなる程度に火が通ったら鍋から出して水洗いします。黒くなっている血合いや内臓の辺りは良く洗っておきます。

洗い終えた鶏がらは骨ごとぶつ切りにしていきます。こうすることで、骨髄からも味が染み出るのです。

下準備が終わったら、いよいよスープ作りに入っていきます。

鶏がらスープの取り方

  1. 用意した野菜類は切っておきます。ネギは適当な長さに切り分け、ショウガは包丁の腹で潰してから切り分けます。他の野菜類を入れる場合も、適当な大きさに切り分けておきます。
  2. 切り分けた鶏がらと野菜類を鍋に入れ、水を注いだら沸騰するまで強火で煮立てていきます。
  3. 沸騰したら火を弱火まで弱め、丹念にアク取りをしていきます。
  4. 二時間ほどじっくりと煮込み、ざるなどで鶏がらや野菜を濾せば鶏がらスープの出来上がりです。

鶏がらスープをもっと美味しくする方法・上手に利用する方法

この調理法で作った鶏がらスープなら、自家製ラーメンにも水炊きにも使えます。

しかし、「もっと美味しく出来るんじゃないか」という疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか?


材料を吟味する

鶏がらスープを美味しくするには、やはり材料の段階からこだわる必要があります。

市販されている冷凍の鶏がらは、基本的に生後3ヶ月未満のブロイラーがほとんどです。材料にこだわるのであれば、生後一年以上の地鶏の鶏がらなどを使いたいものです。

鶏がらは、老鶏のほうがエキスが強く出て美味しいのです。それに、地鶏の方が肉から脂からうま味がブロイラーとは段違いに美味しいのです。

煮込む時間を長くする

「カレーは煮込めば煮込むほど美味しい」と言われるように、鶏がらスープも煮込めば煮込むほど美味しくなります。

しかし、現実的には「スープを煮込む時間を長くする」ということは「焦げ付いたり、吹き零れないように鍋を見張る時間が長くなる」という意味なのです。

そこで登場するのが圧力鍋です。鶏がらを沸騰するまで煮込んで、アク取りをしたら圧力鍋の蓋をして30分ほど煮込むのです。こうすると鶏がらのエキスが残さず抽出されることになります。

圧力鍋で煮込む時間を長くすれば、骨髄が溶け出して白濁したスープになりますが食べても問題はありません。

出汁を取ったら鶏がらはどうする?

出汁を充分に取ったあとの鶏がらは、スープの出汁には使えませんが具材には使えます。

鶏がらに付いている身肉を全て取ってしまいましょう。取った身肉は鶏がらスープに入れて食べてもよし、盛り付けたご飯の上に乗せて鶏がらスープを掛けて「鶏飯」風に仕立ててもよしと利用法は様々です。

鶏がらスープの保存法

鶏がらスープは常温下では2日しか持ちません。3日目には悪くなってしまいます。

鶏がらスープを保存するにはどうしたらよいのでしょうか。

冷凍する

一番手軽な保存法は冷凍保存です。製氷機を利用して余ったスープを凍らせてジップロックなどの密封できる容器などで保存します。

冷凍保存すれば10日以上は日持ちしますが早めに使い切りましょう。

脂を分けて保存する

ラーメン

ラーメン屋などでは、スープの脂分とスープを分けて冷凍保存するのが主流となっています。

方法は、スープの入った鍋より大きい寸胴などを用意して、氷を入れた寸胴の中に鍋を入れて湯煎の要領で冷やすと言うものです。脂が白く固まったら取り除いて、別の容器に保存します。

スープも小分けにして冷凍保存します。スープを使うときは解凍した脂をスープに入れます。こうするとスープの風味が落ちるのを防げるのです。


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